ロコモコ閲覧用ブログ
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2007'05.20.Sun
気付けばまたページ全部がイラストに・・・(汗)
慌ててストックを引っ張り出してみるのでした。
忙しい。そう思う間も無く時間は過ぎる。
数えれば過ぎる早さに目眩がするから時計も見ない。けれど周りが刻一刻と過ぎる時間を教えてくれる。
教えて欲しくもないのだが。
「課長!もう10時です。先方がもうお見えになります、急いで下さい!」
「そろそろ1時です、課長。部長からの書類が」
「申し訳ありません、課長。スケジュールでどうしても調整がつかない所がありまして、3時までに調整を」
「課長、部長より伝言です。5時に会議室へとの事です」
どいつもこいつも・・・。
ふつふつと沸き起こる苛立ちを押さえながら真琴はずり落ちそうになる眼鏡をきゅ、と指先であげた。
原崎真琴。
今年課長になんぞ昇進してしまったとある大企業のサラリーマンだ。
戦闘着はスーツ。但し良い物は要らない。丈夫で動きやすい物が真琴の戦闘着になる。
今日だってそうだ。面白みの無い黒のスーツに淡いピンクのシャツ、灰色のネクタイ。一応見かけだけはそれなりだが、これは真琴が選んだのでは無く同居人がうきうきしながら選んだものだから、選んでくれたままに着ているだけだ。
その同居人とも時間が擦れ違い気味でもう一週間も顔を見ていない気がする。会いたい、とは思わないがそれでも少々寂しい物がある。何せ真琴の同居人は一応曲がりなりにも恋人、と言う位置にいる奴なのだから。
「・・・はぁ」
見たくも無いが既にデスクの半分は書類の山に埋もれて全てが今日中に処理しなければならない物達で。
「今日も終電、か」
思わず零れ落ちた愚痴に、それでも忙しいフロアは気付かず、次に真琴が時間を思い出したのは退社時刻が少々過ぎたあたり。部下が書類を引き上げて行ったら何故かデスクの書類が一枚もなくなっていたのだ。
「奇跡だ」
呆然と呟く真琴に部下が笑う。確かに仕事量は多いが真琴は手が早いと評判のデキル課長なのだ。
いや、だからこの若さで課長になったのだろうと言われているのだが。
「課長、今日はもうお帰りになったらどうです?毎日残業でしたしお疲れでしょう?」
「そうだな・・・そうするか」
まだ夕食前。こんな時間に帰る事が出来るのは真琴にとっては奇跡も同然。
部下に笑われつつもそそくさと帰る準備をし退社した。
のだが。
「そうか、僕が帰っても亮也は居ないんだっけな」
そう。真琴の同居人、亮也は夜のお仕事。ホスト稼業で夕暮れにはもう部屋には居ない。
久々に、本当に久々に早く帰ってもどうせ亮也は居ない。だから自然と残業も増えたのだ。
「・・・そうか」
つまらない。折角早く帰っても部屋には真琴1人。
しん、と静まりかえった部屋が真琴を受け入れていない気までしてしまって、何だか馴染めない。
沈んだ空気に部屋の中に入る気が無くなってしまった真琴はくるりと着替えもせずに部屋を出てしまった。
何処に向かう訳でも無いが、あの部屋に居るのは嫌。
1人で居る事に苦は無いハズなのに、どうしてだか今日はやたらと同居人を思い出してしまう。
久々に早く帰れた後遺症なのか、それとも、単に疲れすぎて人肌を求めてしまっているのか。
認めたくは無いが確かに亮也は真琴の恋人で馬鹿だし阿呆だし煩いけれど、たった1人の真琴の恋人。居なければ寂しくて当たり前なのだ。
うろうろと街を歩きながら今更ながらに気付いた亮也の存在にふと足が止まる。
真琴がこんなに弱る事は無い。滅多に無い。なのにあの馬鹿はこんなチャンスをどうして見逃すんだ。
今頃仕事をしている亮也にとっては言い掛かりも甚だしいのに半ば本気で亮也に怒りの電話を掛けようかと思ってしまう。いや、いっそ電話を掛けて怒鳴ればすっきりしそうだ。そうだ、そうしよう。
苛立ちと、寂しさと、恋しさが真琴に理不尽な行動を起こさせる。
こんな時に居ないアイツが悪いんだと、携帯電話を取り出した真琴は初めて視線を前に上げて、ぱちりと眼鏡の奥の瞳を見開いた。
「ただいま帰りました〜。真琴、寝てるよな」
朝方。こそこそと部屋に戻った亮也は疲れた身体を引きずってまずはシャワーとばかりに上着を投げた。
夜に輝くホストは朝には萎れるのだ。と言うか休みを挟みながらでも徹夜を繰り返す生活は少々キツい。
それでも愛しい人との生活はすれ違いでも亮也には嬉しいものだ。シャワーの前に寝顔だけれども真琴の顔を拝んでこっそりキスしてから、なんて思い浮かんでそっと寝室に入る。
暗い寝室にはほんの少しの間接照明だけがぼんやりとあって、すやすやと眠る真琴の顔を普段より優しく見せている。ダブルベットの片隅に、1人だけなのに片隅で眠る真琴の寝顔は亮也にとって何より得難いものだ。
「ただいま、真琴」
そおっと囁いて眠る真琴の髪を梳いて、ふと気付く。
愛しい真琴の側になにやら見慣れぬ物体が居るのだ。
「・・・ん?」
何だこりゃ、寂しいからぬいぐるみでも買ったのか。以外と可愛い所もあるんだなー、真琴なのに。
なんてにまにましてしまったのは真琴の側に黒い小さな毛玉があったからで、思わぬ可愛い仕草に亮也はにんまりしてしまったのだが。
「・・・・え?」
普通、ぬいぐるみは動かない。なのに、動く。
それも、すぴすぴと寝息を立てつつ、ころん、と寝返りして。
「な、何だこりゃ・・・」
ぬいぐるみだと思ったのに違う。
思わず手を出してむんずとぬいぐるみモドキを布団の中から取りだした亮也は整った顔を妙な風に歪めて、笑んだ。
「そっか、寂しかったんだな。ごめんな、真琴」
手に持ったのはまだ小さな子犬。
黒くて足が短い可愛いヤツで、すれ違いの生活が寂しさを与えるものだったのかもしれないと、改めて実感した亮也は持ち上げられてもまだ眠る子犬をそっと布団の中に戻してやった。
そうして、真琴が起きるのを待って一匹だけじゃ寂しいからともう一匹の犬を飼いに行くのは直ぐ後の話。
慌ててストックを引っ張り出してみるのでした。
忙しい。そう思う間も無く時間は過ぎる。
数えれば過ぎる早さに目眩がするから時計も見ない。けれど周りが刻一刻と過ぎる時間を教えてくれる。
教えて欲しくもないのだが。
「課長!もう10時です。先方がもうお見えになります、急いで下さい!」
「そろそろ1時です、課長。部長からの書類が」
「申し訳ありません、課長。スケジュールでどうしても調整がつかない所がありまして、3時までに調整を」
「課長、部長より伝言です。5時に会議室へとの事です」
どいつもこいつも・・・。
ふつふつと沸き起こる苛立ちを押さえながら真琴はずり落ちそうになる眼鏡をきゅ、と指先であげた。
原崎真琴。
今年課長になんぞ昇進してしまったとある大企業のサラリーマンだ。
戦闘着はスーツ。但し良い物は要らない。丈夫で動きやすい物が真琴の戦闘着になる。
今日だってそうだ。面白みの無い黒のスーツに淡いピンクのシャツ、灰色のネクタイ。一応見かけだけはそれなりだが、これは真琴が選んだのでは無く同居人がうきうきしながら選んだものだから、選んでくれたままに着ているだけだ。
その同居人とも時間が擦れ違い気味でもう一週間も顔を見ていない気がする。会いたい、とは思わないがそれでも少々寂しい物がある。何せ真琴の同居人は一応曲がりなりにも恋人、と言う位置にいる奴なのだから。
「・・・はぁ」
見たくも無いが既にデスクの半分は書類の山に埋もれて全てが今日中に処理しなければならない物達で。
「今日も終電、か」
思わず零れ落ちた愚痴に、それでも忙しいフロアは気付かず、次に真琴が時間を思い出したのは退社時刻が少々過ぎたあたり。部下が書類を引き上げて行ったら何故かデスクの書類が一枚もなくなっていたのだ。
「奇跡だ」
呆然と呟く真琴に部下が笑う。確かに仕事量は多いが真琴は手が早いと評判のデキル課長なのだ。
いや、だからこの若さで課長になったのだろうと言われているのだが。
「課長、今日はもうお帰りになったらどうです?毎日残業でしたしお疲れでしょう?」
「そうだな・・・そうするか」
まだ夕食前。こんな時間に帰る事が出来るのは真琴にとっては奇跡も同然。
部下に笑われつつもそそくさと帰る準備をし退社した。
のだが。
「そうか、僕が帰っても亮也は居ないんだっけな」
そう。真琴の同居人、亮也は夜のお仕事。ホスト稼業で夕暮れにはもう部屋には居ない。
久々に、本当に久々に早く帰ってもどうせ亮也は居ない。だから自然と残業も増えたのだ。
「・・・そうか」
つまらない。折角早く帰っても部屋には真琴1人。
しん、と静まりかえった部屋が真琴を受け入れていない気までしてしまって、何だか馴染めない。
沈んだ空気に部屋の中に入る気が無くなってしまった真琴はくるりと着替えもせずに部屋を出てしまった。
何処に向かう訳でも無いが、あの部屋に居るのは嫌。
1人で居る事に苦は無いハズなのに、どうしてだか今日はやたらと同居人を思い出してしまう。
久々に早く帰れた後遺症なのか、それとも、単に疲れすぎて人肌を求めてしまっているのか。
認めたくは無いが確かに亮也は真琴の恋人で馬鹿だし阿呆だし煩いけれど、たった1人の真琴の恋人。居なければ寂しくて当たり前なのだ。
うろうろと街を歩きながら今更ながらに気付いた亮也の存在にふと足が止まる。
真琴がこんなに弱る事は無い。滅多に無い。なのにあの馬鹿はこんなチャンスをどうして見逃すんだ。
今頃仕事をしている亮也にとっては言い掛かりも甚だしいのに半ば本気で亮也に怒りの電話を掛けようかと思ってしまう。いや、いっそ電話を掛けて怒鳴ればすっきりしそうだ。そうだ、そうしよう。
苛立ちと、寂しさと、恋しさが真琴に理不尽な行動を起こさせる。
こんな時に居ないアイツが悪いんだと、携帯電話を取り出した真琴は初めて視線を前に上げて、ぱちりと眼鏡の奥の瞳を見開いた。
「ただいま帰りました〜。真琴、寝てるよな」
朝方。こそこそと部屋に戻った亮也は疲れた身体を引きずってまずはシャワーとばかりに上着を投げた。
夜に輝くホストは朝には萎れるのだ。と言うか休みを挟みながらでも徹夜を繰り返す生活は少々キツい。
それでも愛しい人との生活はすれ違いでも亮也には嬉しいものだ。シャワーの前に寝顔だけれども真琴の顔を拝んでこっそりキスしてから、なんて思い浮かんでそっと寝室に入る。
暗い寝室にはほんの少しの間接照明だけがぼんやりとあって、すやすやと眠る真琴の顔を普段より優しく見せている。ダブルベットの片隅に、1人だけなのに片隅で眠る真琴の寝顔は亮也にとって何より得難いものだ。
「ただいま、真琴」
そおっと囁いて眠る真琴の髪を梳いて、ふと気付く。
愛しい真琴の側になにやら見慣れぬ物体が居るのだ。
「・・・ん?」
何だこりゃ、寂しいからぬいぐるみでも買ったのか。以外と可愛い所もあるんだなー、真琴なのに。
なんてにまにましてしまったのは真琴の側に黒い小さな毛玉があったからで、思わぬ可愛い仕草に亮也はにんまりしてしまったのだが。
「・・・・え?」
普通、ぬいぐるみは動かない。なのに、動く。
それも、すぴすぴと寝息を立てつつ、ころん、と寝返りして。
「な、何だこりゃ・・・」
ぬいぐるみだと思ったのに違う。
思わず手を出してむんずとぬいぐるみモドキを布団の中から取りだした亮也は整った顔を妙な風に歪めて、笑んだ。
「そっか、寂しかったんだな。ごめんな、真琴」
手に持ったのはまだ小さな子犬。
黒くて足が短い可愛いヤツで、すれ違いの生活が寂しさを与えるものだったのかもしれないと、改めて実感した亮也は持ち上げられてもまだ眠る子犬をそっと布団の中に戻してやった。
そうして、真琴が起きるのを待って一匹だけじゃ寂しいからともう一匹の犬を飼いに行くのは直ぐ後の話。
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